Friday, January 4, 2019

「成人の日に」~人間とは常に人間になりつつある存在~


 校庭で,新成人の記念写真撮影の様子です。

 たくさんの保護者の皆様も集まっています。20年間,我が子のために深い愛情を注ぎ,笑い,涙を流し,喜び,怒り……の連続だったことでしょう。今となっては,子どもとの全ての瞬間が幸せだったと思います。

 谷川俊太郎さんの『「成人の日に」~人間とは常に人間になりつつある存在~』という詩を御存じですか。

「成人の日に」~人間とは常に人間になりつつある存在~
人間とは常に人間になりつつある存在だ
かつて教えられたその言葉がしこりのように胸の奥に残っている
成人とは人に成ること
もしそうなら
私たちはみな日々成人の日を生きている
完全な人間はどこにもいない
人間とは何かを知りつくしている者もいない
だからみな問いかけるのだ
人間とはいったい何かを
そしてみな答えているのだ
その問いに
毎日のささやかな行動で
人は人を傷つける
人は人を慰める
人は人を怖れ
人は人を求める
子どもとおとなの区別がどこにあるのか
子どもは生まれ出たそのときから小さなおとな
おとなは一生大きな子ども
どんな美しい記念の晴れ着も
どんな華やかなお祝いの花束も
それだけではきみをおとなにはしてくれない
他人のうちに自分と同じ美しさをみとめ
自分のうちに他人と同じ醜さをみとめ
でき上がったどんな権威にもしばられず
流れ動く多数の意見にまどわされず
とらわれぬ子どもの魂で
いまあるものを組み直しつくりかえる
それこそがおとなの始まり
永遠に終わらないおとなへの出発点
人間が人間になりつづけるための
苦しみと喜びの方法論だ

〔ブログへの掲載については,新成人のみなさんに了解をいただきました。〕